コラム

東京地方裁判所における自己破産事件の財産換価基準

自己破産事件の東京地裁における財産換価(自由財産拡張)基準では,以下の財産について換価処分が不要とされています。

 

残高(複数ある場合は合計額)が20万円以下の預貯金
見込額(数口ある場合は合計額)が20万円以下の生命保険解約返戻金
支給見込額の8分の1相当額が20万円以下の退職金債権
支給見込額の8分の1相当額が20万円を超える退職金債権の8分の7相当額
処分見込額が20万円以下の自動車
居住用家屋の敷金債権
電話加入権
家財道具

 

なお、退職金債権については次のようになります。

 

退職金の8分の1の金額が20万円以下なら、退職金債権全額
退職金の8分の1の金額が20万円を超える場合には、退職金の8分の7相当額
すなわち、退職金見込み額が160万円以下の場合には、退職金は換価処分されず、160万円を超える場合には、その8分の1が、換価処分され破産財団に組み込まれます。たとえば320万円の退職金があれば40万円が換価処分の対象となります。
また、退職時期が間近に迫っていれば、退職金をもらえる可能性は非常に高くなりますし、金額も確定しやすくなります。そのため、基準割合が8分の1から4分の1へとなる可能性があります。

 

これらに当たる財産については,自由財産拡張の申立てをすることなく,自由財産として扱われることになります。
なお,この東京地方裁判所の換価基準は,立川支部でも採用されていますし,それ以外の裁判所でも採用されている場合があります。もっとも東京地裁とは別に,独自の換価基準を定めていることもありますので,あらかじめ確認しておく必要はあります。

 

2020年03月12日